体験過程
フォーカシングは体験過程に焦点を合わせて意味を見出す技法であり、体験過程とは「今、ここ」で起こっている感情の過程、言語によって概念化される以前の前概念的過程のことです。
身体で感じられた実感(フェルトセンス)に注意の焦点を合わせ、そこに感じられたものを言葉にしてみれば、体験過程に変化が生じます。
例えば、ある人が「ある会合に行かなければならないが、自分でもよくわからないけど、どうも行きたくないんだ」と言ったとします。
この時、彼は自分の内部で進んでいる体験過程に表現を与えようとしているのだが、その体験過程は整理されていない潜在的な意味を含んでいます。
それは何となく感じることはできるのだが、はっきりとはわからないものです。
しかし、彼は自分の体験過程の整理されていない部分に焦点を合わせることで、この潜在的な意味を発見することができます。
「そうか、Aさんが来るから、行きたくないのか」と理解し、どうすればよいのか、本来の可能性が見えてきます。
これは、なんだか分からないけど、モヤモヤしている。そのモヤモヤに意識を向けて言葉にすることで、モヤモヤの原因が分かったという例です。
体験過程とは「今、ここ」で起こっている感情の過程のことで、フォーカシングはそこに注意を向けて表現を与えることで、潜在的な意味を見つける技法です。
体験過程+フォーカシング技法→潜在的意味の理解ということです。
フェルトシフト
フェルトシフト、これはフェルトセンスが変化することをいいます。
フォーカシングは生の感覚を相手にしていて、それは生き物と同じです。
ですからフォーカシングの過程で変化するのは取り立てて珍しいことではありません。
変化していくのは当然と言うくらいの気持ちで、距離を取って会話していくことが重要です。
フォーカシングの過程で、整理されたり、理解する事で、感情は変化していきますし、それが当たり前です。
クリアリング・ア・スペース(CAS)
日本語で簡単に言うと、『片づける』ということになります。
フォーカシングにおいては、いくつものフェルトセンスがでてくることがあります。
たくさんのフェルトセンスを一度に相手するのはなかなか難しいので、今、対象としないフェルトセンスやその他の感覚を遠ざけます(消すわけではありません)。今相手にするフェルトセンスに集中すると言っても良いかもしれません。
イメージとしては、自分と対象とするフェルトセンスがいる場所から離れたところに大きなソファーを置いて、みんなにそこに座ってもらいます。
順番待ちの待合室のようにです。フェルトセンスは意識があるのでお願いすれば、大抵はリクエストを聞いてくれます。
ただ、そこに嘘があってはいけません。
ここでの嘘は身体の感覚を裏切る行為ですので、『後で必ずお話ししましょう。』と約束し、必ず後でお話ししてください。